電話で「カニ買わない?」〜届いたら中身がスカスカだった!

12月掲載)

 

Q  自宅に電話があり、「カニを買わないか」と勧誘された。その事業者は名前を告げなかったので、以前購入したことのある事業者だと勘違いし、ズワイガニなどを約2万円分注文した。届いたカニをすぐに少し食べたところ、中身がスカスカだった。事業者へ苦情の電話をしたが、担当者が休んでいるなどと言い逃れをする。対応に納得がいかない。(60代 男性)

 

A  カニの電話勧誘に関する相談事例は、一昨年あたりから全国的に急増しています。この事例の場合、当センターから事業者に苦情の内容を伝えたところ、すぐに代替品を送るとの回答がありました。その後、相談者に届いたことを確認して解決しました。

 ほかに「脱皮寸前のカニで食べられない」「カニの足が割りばしくらい細く、身が入っていない」「タラバガニといっていたのに、届いたのはズワイガニだった」などの苦情が当センターに寄せられています。「カニ祭りだから安い」「今日だけ特別に安い」と言ってしつこく購入を迫り、断っても送り付けてくるケースもあります。中には代金引換での配送を悪用し、頼んでもいないのにカニを送り付ける悪質商法もあるようです。苦情を言おうにも、事業者に電話がなかなか通じないこともあります。

 特定商取引法(特商法)は指定商品制をとっており、電話で勧誘する販売方法は、指定商品に限って8日間のクーリング・オフが可能です。このほか事業者は勧誘に先立ち、事業者名や勧誘を行う者の氏名、販売目的であることなどを告げなければならないなど、一定の規制が設けられています。ただし、この相談の時点では、生鮮食品は指定商品ではなかったため、法の適用は受けませんでした。

 しかし、今年121日からの特商法の改正で指定商品制が廃止され、原則としてすべての商品が対象となり、生鮮食品にも適用されることになりました。これにより、今後は契約書面を受け取ってから8日間以内で、3,000円を超える物はクーリング・オフが可能となります。

 カニなどの生鮮食品を電話勧誘で購入する場合、現物を見ないで購入することになるので、トラブルが発生する恐れがあります。十分注意してください。注文した覚えのない物が送られてきたら、きっぱりと受け取りを拒否しましょう。家族が注文したものと思いこみ、支払ってしまうケースもあります。家族あての場合は安易に受け取らず、本人に注文の有無を確認しましょう。

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やめるにもお金がかかるの?以前契約した資格講座

11月掲載)

 

Q 【事例1】 15年ほど前、行政書士の資格取得のため、通信講座を契約した。すでに支払いは完了しているが、資格は取得できなかった。最近になって事業者から自宅に電話があり、「資格が取れるまで講座は継続されている。次の過程を受講する必要があるので49万円必要」と説明された。不審に思って断ったが、また連絡がきた場合、どのように対処すればよいか。

【事例2】 何年か前に電話勧誘により、資格取得のための教材を購入したことがあった。それ以来、何度か他社から何らかの教材の購入契約を促す電話を受けたが、その度に断っていた。昨日、前に教材を購入したところと同じ事業者かどうかははっきりしないが、職場に電話があり、「通信教育の名簿に名前が載っている。全国教育団体の集会があるので、名簿に載っている人には今後も別のところから電話がかかってくる。名簿から名前を削除するにはお金が必要」と言われた。どうすればよいか。

 

A これらの事例は、資格取得のための講座や教材などの契約により、個人情報を知られてしまったことに起因する、「資格商法()の二次被害」といわれるものです。

 何年も経てから「講座はまだ修了していない」「やめるためには処理費用が必要」など虚偽の説明をして、新たにお金を支払わせようとします。同じ事業者からの勧誘とは限らないので、名簿が流出しているとも考えられます。

 二つの事例とも支払いが完了していれば、それ以上支払う必要はありません。中には「被害者が全国にいるので、団体訴訟を起こすことになった。預託金を口座に振り込んでくれると、引き落としが止まる」という、怪しげなものもあります。

 執ような電話勧誘の対処としては、きっぱり断って電話を切ることです。万が一、断りきれずに契約してしまった場合でも、契約書が手元に届いてから8日以内であれば、クーリング・オフが可能です。また、特定商取引法では、事業者が電話で勧誘する際、一度断られた人に対して再勧誘することを禁じています。なかなかはっきり断りきれず、しつこく勧誘の電話がきて困るような場合は、最寄りの相談窓口へ。

資格商法とは「受講すると必ず資格が取れる」「○○の資格はいずれ国家資格になる」「限られた間に取得すると、国から優遇措置がある」「資格を取得すると仕事がたくさん来る」「資格がなければ、この仕事はできない」など虚偽説明で、高額な教材や講座の契約を
させようとします。十分ご注意ください。

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指輪、寝具、食品、次々と購入、やめさせたいが・・・

10月掲載)

 

Q 70代の姉はこの2か月間で指輪やネックレス、寝具、食品など次々と購入し、総額100万円近くになっている。自宅近くの店舗に健康や食品について楽しく話をしてくれる販売員がいるらしく、連日通い詰めているようだ。年金暮らしなので、そのうち家計を圧迫すると思う。私も誘われたが、だまされているようで姉が心配だ。(60代、女性)

 

A 事例と同じようなケースでは、新聞の折り込みチラシなどを使って、格安の食料品などを提供することを目玉に、短期間開設している会場に人を集め、販売員が言葉巧みに健康不安をあおり、時には「病気に効く」などと薬事法に抵触するような説明で、高額な健康食品を売りつけるものもあります。

 特に高齢者は「健康」や「孤独」などの不安に付け込まれて、販売員の話術や親近感を抱かせる雰囲気に惑わされ、何度も足を運ぶうちに高額な商品などを次々と購入させられるようです。このように販売目的を隠したり、必要以上に多くの量を売りつけたりする販売方法には問題があります。

 契約当事者に判断能力の問題が特にない場合、家族らが購入をやめるよう説得するのは大変難しいことです。本人がおかしいと気づかない場合が多く、気づいても一人で悩んでいることもあり、なかなか相談窓口に連絡するまでには至らないのが現状です。周囲の人たちが、普段からコミュニケーションをとりながら様子を見守っていくことが大切です。

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親が乗り気で契約したが・・・結婚相手紹介サービスの解約

10月掲載)

 

Q 自宅に結婚相手紹介サービスの事業者から電話があった。両親が乗り気で話を聞き、資料を送付してもらったところ、昨日販売員が訪問してきた。「1年半くらいで確実に相手が見つかる」などと勧誘され、契約することにした。料金の内訳やシステムなどの説明はほとんどなく、販売員が帰る少し前に出してきた書面に、指示されるまま数カ所に捺印した。入会時には525000円が必要とのことで、手付け金として25000円をその場で払い、残金は翌日現金で一括払いすることにした。考えてみると高額であり、何度も店舗でカウンセリングを受けるのも面倒だ。解約できるか。(40代、男性)

 

A  結婚相手 紹介サービス」は、その目的が将来実現するかどうかが確実ではなく、また、契約期間が比較的長期に渡るため、中途解約にあたってトラブルになるケースもあります。そこで、特定商取引法では、役務提供期間が2か月、契約金額5万円をそれぞれ超える場合は「特定継続的役務提供」として、一定の規制を設けています。

 例えば事業者は契約前に「概要書面」、契約時に「契約書面」を交付することが義務付けられています。また、店舗での契約であっても8日間はクーリング・オフが可能です。なお、クーリング・オフ期間経過後でも、契約期間内であれば理由を問わず中途解約権が認められています。

 今回の事例ではクーリング・オフが適用されるので、相談者に書面で通知するよう助言しました。後日、事業者から返金があったとの報告がありました。

 結婚相手紹介サービスのほかにも、エステや語学教室など、実際にサービスを受けてみなければ自分に合っているかどうか分からないものは、契約前にサービスの内容や料金体系などをよく確認する必要があります。中途解約時の清算方法も確認しておきましょう。

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断ったはずの紳士録〜申し込んだことになっている!

9月掲載)

 

Q 先月半ば、「紳士録」の案内が届いたが、放置していた。すると事業者から電話があり、「申し込まない場合は書類を返送するように」とのこと。名前を書き、「申し込まない」に印を付けて月末に送り返した。

  
ところが2週間ほどたった昨日、請求書とともに、その署名をした書類のコピーが返送されてきた。書類を確認すると、購入申込書となっており、平成21年度版の紳士録購入を承諾したことになっていた。申し込んだ認識は全くない。私が「申し込まない」と意思表示をしたのは、平成22年度版購入に対してだと分かった。

  
あらためて書類をよく見ると、片隅に小さな字で「申し込まない場合は、返送する必要がない」と書かれてあった。非常にまぎらわしい。しかし、もともと購入する意思は一切ないので断りたいが、契約したことになるのだろうか。(70代、男性)

 

A  「紳士録」とは、企業や団体で役員を務めた人たちの名前や経歴などを掲載した名簿のことです。

  
事業者は、消費者に契約を気づかせずに、署名した書類を返送させるのが目的です。これにより契約が成立したと消費者に迫り、「申し込んでしまったから仕方がない」と消費者に思わせ、代金を支払わせようとするのです。

  
事業者が送り付けてきた書類は、消費者が特別な注意を払わなければ分からない内容になっていました。事業者が勘違いさせて申込書に署名させたとしても、もともと相談者は契約するつもりはなく、断るつもりで書類を返送しただけです。したがって事業者との意思の合致がないため、有効に契約が成立しているとは考えられません。

  
相談者には、事業者に対して「契約の承諾をした覚えがなく、したがって契約は成立していないと考えている」「申し込みがあったと主張するのであれば、念のため契約を解除する」「今後とも契約する意思がなく、一切の勧誘を断る」旨、簡易書留で通知するようアドバイスしました。後日、この主張を事業者が認めたと相談者から連絡がありました。

  
被害に遭わないためには、送られてきた書類の中身をよく読み、安易に返送しないことです。さらに事業者から電話で説明を受けても、うのみにしてはいけません。

  
不明な点があれば最寄りの消費生活センターなどに相談してください。

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架空請求・不当請求〜連絡するべき?無視していいの?

8月掲載)

 

Q 【事例1】 携帯電話に「調査会社」を名乗るところから「総合コミュニティーサイト」の未納料金を請求するメールが届いた。「連絡がない場合は身辺調査を開始し、裁判手続きを取る」という内容で、電話連絡の指示と最終通告であることも書かれてあった。全く身に覚えがない。無視してもよいのか。(30代、女性)

 

A 同一携帯電話会社同士の、電話番号でメールを送信できる仕組みを悪用した架空請求だと思われます。全く身に覚えがないのであれば無視しましょう。こちらから電話連絡をすると、電話番号や相手との会話の中から個人情報を知られる恐れがあります。「身辺調査」や「裁判手続きを始める」という内容で、消費者の不安をあおっているのです。

 裁判手続きが取られる場合は、裁判所から特別送達と書かれた封書が届きます。そのような場合は無視せず、最寄りの消費生活相談窓口へ連絡してください。

Q 【事例2】 自宅のパソコンでインターネットを利用中に、アダルトサイトの無料動画が見られるというのでアクセスした。最初にチェック画面があり、「パソコンは業務用ではない」「未成年ではない」という項目にチェックを入れた。すると突然「登録完了」という画面に変わり、料金が表示された。支払い期限は3日間とある。初めの画面に料金表示はなく、登録したつもりもないのでそのまま無視してパソコンを閉じた。しかし、再びパソコンを起動させると請求画面が出てきてしまい消せない。連絡した方がよいのか。(40代、男性)

 

A 画像や年齢確認などをクリックしただけで登録になり、不当に請求されるいわゆる「ワンクリック詐欺」だと思われます。

 「契約」は、当事者双方の間に申し込みと承諾の意思表示が「合致」して成立となりますが、この事例は、「有料の動画サイト」であると認知した上で申し込んだとはいえず、「契約」が成立しているとは考えられません。仮に事業者に契約は成立していると主張されても、電子消費者契約法では、サイト側で契約の申し込みの意思確認画面を設けていない場合は、錯誤による無効を主張できる旨の規定があります。よって請求されても支払う必要はありません。

 パソコンを立ち上げる度に出てくる請求画面は、悪質なプログラムが組み込まれたものと考えられます。消去するには特別な操作が必要です。独立行政法人情報処理推進機構の「コンピュータウイルス110番」(電話番号:03-5978-7509)でアドバイスが受けられます。

不安なときはご相談を。公表されている情報も参考に

 有料サイトやメールによる不当請求や架空請求は、「アダルトサイトなので他人に知られたくない」「支払期限が迫っており、焦っている」という心理を悪用しています。

 また、携帯電話からサイトにアクセスしたところ「あなたの個体識別番号は○○です」などと、あたかも個人情報を入手したかのような画面を示して不安をあおり、料金を請求する事例もあります。しかし、実際に事業者側に個人情報が漏れているわけではないので、慌てる必要はありません。

 なお、北海道環境生活部くらし安全局 消費者安全課ホームページでも「不当請求事業者名」を公表しているので参考にしてください。不安なときは最寄りの消費生活相談窓口へご相談ください。

 

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強引な勧誘、金額も不透明〜高額で不要な塗装工事、解約したい

7月掲載)

 

Q 1か月ほど前、自宅のポストに屋根と壁の塗装工事に関するパンフレットが入っていた。ちょっと話を聞いてみようと思い、その事業者に電話して、訪問してもらうことにした。事業者は「10年は持つ塗装」「今までにない工法」「家が道路沿いに面しているので、工事中は看板を立てて宣伝させてほしい」などと説明し、強く契約を迫ってきた。料金が約150万円と高額なため断ると、「消費税込みで105万円にする」と言われた。少し考えようと思っていると「今日中に契約しないと、ほかにも工事をしたがっている人がいる」とせかされたので、クレジット一括払いの契約をし、サービスとして食料品を受け取った。しかし、やはり高額で必要のない工事だと思うので解約したい。(70代 女性)

 


A
 相談者宅のポストに入っていたパンフレットは、金額もはいっておらず、会社案内や、塗装や塗料について書かれたものです。相談者はこれを見て、金額等の話を聞きたいと思っただけで、工事契約をすることを目的に事業者に連絡を取り、自宅へ招いたわけではありません。従ってこの事例は、特定商取引に関する法律の訪問販売に当たると考えられます。この場合事業者には、契約内容を明らかにした書面の交付が義務づけられています。

 しかし、今回、相談者は見積書や仕様書などの書面を受け取っておらず、契約書は、工事内容や金額の記載が不十分で、契約内容が明らかな書面を受け取ったとはいえない状況でした。

 訪問販売では、契約書面を受理してから8日間はクーリング・オフできますが、今回はすでに1か月が経過していました。また、クレジットの一括払いのため、割賦販売法での「支払停止の抗弁」()は、本来は認められません。しかし、まだ工事に着手していないことや契約の即決を迫るような勧誘方法、工事内容や金額の説明不足、書面の不備などの問題点を指摘して、事業者へ解約を、クレジット会社へ支払い停止を申し出るよう助言しました。

 事業者は解約料5,000円での解約を提案してきました。相談者は契約時にサービスとして食料品を受け取っていることもあり、この提案を了承して解約に至りました。

支払停止の抗弁割賦販売法による割賦購入あっせん(2か月以上にわたり、3回以上の分割払い)で契約した商品等に問題点があるにもかかわらず、請求を受けたとき、クレジット会社に対して、支払いを拒むことができる権利。

被害に遭わないために複数社から見積もりを取ろう

 塗装など住宅修繕については、即決せずに、複数社から見積もりを取って工事内容や金額を比較し、冷静に契約を検討することが大切です。また、修繕の必要性や塗装の種類などは、専門家でなければ判断できないことが多いので、不明な点があれば(財)北海道建築指導センター(電話番号:011-222-6070)などに問い合わせて工事内容や必要性を確認しましょう。

 

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効果のない痩身サプリと豊胸クリーム〜返品したいが、連絡がとれず

6月掲載)

 

Q 雑誌の広告に、「塗るだけで豊胸効果がある」とうたっているクリームと、「痩身効果が業界ナンバーワンの成功率」をうたうダイエットサプリメントが載っていた。「1か月間使用して効果がない場合、初回購入者に限り1箱分を全額返金する」と書いてあったので、試したいと思いインターネットで注文し、代金引換で購入した。1か月間使用したが、両商品とも効果を感じられなかった。返品しようと思い、事業者へ電話をかけたが、何度かけても「回線が込み合っている」という音声テープが流れ、つながらない。メールを送っても返信がない。返金してほしい。(20代、女性)

 


A
 特定商取引に関する法律(以下、「特商法」)により、通信販売の広告には事業者の氏名または名称、住所及び電話番号を表示することになっていますので、住所が分かれば電話がつながらなくても、書面で返金を求める方法があります。しかし、この事例は、住所の記載がありませんでした。

 当センターから電話をかけても相談者と同じ状態でつながりません。この商品を配達した配送会社は、事業者の連絡先を知っていると思われたので事情を話し、事業者から連絡がほしいと伝えました。後日、事業者から相談者へ連絡があり、相談者の希望通り、返金されました。

 著しく事実と異なる誇大な表現の広告は、景品表示法で禁止されており、「塗るだけ」で効果があると誤認をさせるなど、虚偽や誇大な表現による広告は、特商法でも禁止されています。また、承認を受けていない医薬品や医療機器などの効果効能が、確実であると誤解を与える表現は、薬事法では認められていません。

 この事例では、1か月間使用しても効果がない場合の返金を保障する制度がありましたが、このような制度がない場合、誇大広告や薬事法に触れることなどの問題点を指摘して、返品・返金を求めることになります。

 一般的な通信販売の場合、法律上のクーリング・オフの制度はありません。返品・返金が可能か、また、可能な場合は返品の条件を必ず確認しましょう。事業者と常に連絡のとれる方法も確認しておく必要があります。広告だけで商品を購入する場合は、注文の前に十分注意しましょう。

 

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旅行会社が倒産!〜出発前だけど、代金は払うの?

5月掲載)

 

Q. ツアーの申し込みをしていた道内の旅行会社が倒産してしまった。旅行代金の支払いはクレジットカードで、5か月後のボーナス一括払いにしていた。旅行は行われず、代わりのツアーも用意されていない。支払わなくてもよいか。

 


A.
一般的な契約は、当事者同士の合意さえあれば口頭でも成立します。しかし、旅行契約は原則として申込金の受理と旅行会社の承諾で契約が成立し、クレジットカードを利用する場合は、旅行会社が承諾した時点で契約は成立したことになります。

 支払い方法を、2か月以上の期間にわたって3回以上に分けている場合は割賦販売法の適用を受け、「抗弁権の接続(支払いを拒絶する申し出)」が認められていますが、相談者のような「ボーナス一括払い」や、「翌月一括払い」「2回払い」では認められていません。

 しかし、まだ旅行(商品・サービス)の提供は受けていないことや、事業者が倒産して今後も旅行が実施されないことを理由に支払いには納得できない旨を、文書でクレジットカードを発行している信販会社へ申し出るよう助言しました。

 相談者の申し出が認められ、支払いを止められるかどうかは信販会社の判断によるものであり、その内容も各社によって異なります。

 この旅行会社は破産管財人も決まり、すでに破産手続きを始めています。従って、すでに旅行代金を現金で支払っている場合は、破産管財人へ債権の届け出をすることになりますが、ほとんど配当が見込めないのが現状のようです。

 なお、このように旅行会社が倒産したときには、旅行代金の還付を求めることができる「弁済業務保証金制度」を利用するよう助言しています。

弁済業務保証金制度とは?

 旅行会社の倒産などで代金を取り戻せない場合、旅行業法に基づき、旅行代金を消費者へ還付する制度があります。事業者が(社)日本旅行業協会(JATA)または(社)全国旅行業協会(ANTA)のいずれかに加盟している場合は、「弁済業務保証金制度」が利用できます。

 消費者は、事業者がどちらの協会に加盟しているかを確認し、加盟している協会へ被害額の届け出をすると、手続きについての連絡があります。なお、還付まで約6カ月かかり、必ずしも届け出た被害額が返金されるわけではありません。

 どちらの協会にも加盟していない場合は、消費者自らが登録行政庁(事業者の規模等により異なります)に申し出て、手続き(この場合は、営業保証金制度)をする必要があります。

 

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トイレの修理を頼んだら・・・〜不要な工事もすすめられた

4月掲載)

 

Q トイレが詰まり、汚物があふれ出て困っていたところ、「トイレの詰まり修理5,000.」と書かれたチラシがあったのを思い出し、電話をかけた。状態を伝えたら「修理代は1万円程度」とのことなので、すぐ依頼した。詰まりは直してもらったが、便器の上部から水が流れなくなっているのを見た事業者に、「便器とタンクを外して工事をしなければならない。価格は数万円」と言われた。後始末の掃除に大変な思いをした上、放置しておくとまた詰まるかもしれないと焦り、詳しい説明や見積書もないままに工事を依頼した。終了後、見積書をもらったが内訳も何もなく、7万円も請求された。事業者が帰った後に確認すると水は流れないまま。後日、別の事業者に見てもらったら7万円もかからない工事で、工事自体の必要性も疑わしく、納得できない。(60代、男性)

 


A
 この事例は「トイレが使えなくなる」「また壊れるかも」という消費者が不安な気持ちでいる状況のときに、事業者が、詳しい説明や料金を提示せずに工事を行った点に問題があります。問題点を指摘したところ、事業者は当初に説明していた料金との差額を返金しました。

 チラシの中には目玉となる一部の料金のみを記載して「客寄せ」をする場合があるので注意しましょう。基本的には複数社から見積もりを取り、標準的な内容や価格を把握するべきですが、修理を急いでいるときは困難です。当初の目的以外のものを勧誘されたときはその場で即決・支払いをしない方がよいでしょう。工事を依頼するときは内容や料金を事前に十分確認し、完了後も故障個所が直っているか確認する必要があります。困ったときは最寄りの消費生活センターへ。

 

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あなたは大丈夫?うまい話にご用心

4月掲載)

 

「高配当を約束します」というと、最近報道で取り上げられた「円天」や「L&G」の名前を思い浮かべる人も多いでしょう。ひと昔前なら「豊田商事事件」を思い出す人もいるかもしれません。「私は大丈夫」と思っているそこのあなた。あなたも悪質業者に狙われていますよ。例えばこんなふうに。

 私は75歳で年金暮らし。子供は離れた町にいて、今は一人で生活しているんだ。最近は、高齢者が悪質商法にだまされるっていうけれど、そんなのはだまされる人が悪いのよ。私は大丈夫。知らない人の誘いには乗らないし、訳の分からない電話がきてもきっぱりと断ることにしている。そう簡単にはだまされないから。

 昨日は、親しくしているAさんから「いい話がある」って誘われたのよ。いつも気に掛けてくれるAさんの誘いだし、気晴らしに出掛けてみた。

 何でも、毎月健康食品を買うと定期的に配当があって、継続するほど高くなるらしい。現金で払える金額だし、毎月配当があるならまるで年金みたいだ。孫に今より少し多くお小遣いが渡せるよ。定期的に配当がある仕組みはよく分からないけれど、Aさんの手前、詳しいことは聞きにくい。

でも、町の大きな会場で説明会があったし、人もたくさんいた。説明してくれた人の話もとても面白かった。いつも親しくしている人からの誘いだし、健康食品を食べれば健康になるのだから心配ない。さて、あとは入ってくる配当を楽しみにして待つことにしよう。

 

簡単に「もうかる話」はありません

 「見守り新鮮情報第51号」(国民生活センター発行)によると、「健康食品を毎月購入し続けると、3か月後から配当が年金のように毎月受け取れる。長く続けるほど配当は高額になる」といって勧誘し、結局初回分の配当しか振り込まれないという相談事例が寄せられています。

 誰もが「自分は大丈夫」と思っていますし、親しい人からの誘いは断りにくいもの。「信頼」や「信用」を契約に利用されているのです。よく分からない内容の契約は、親しい人からの誘いでもきっぱりと断ることです。大きな会場を利用することと会社の信頼性は直接関係ありません。公共施設や有名ホテルでの説明会だからといって安心してはいけません。毎月配当金が入ってくる仕組みは、よく確認する必要があります。

 特に高齢者を狙う悪質商法は「孤独」「お金」「健康」の3つを突いてきます。くれぐれも「もうかる話」には注意してください。

 

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賃貸住宅の"原状回復"はどこまで?入居時に状態を確認しよう

3月掲載)

 

Q この春、初めて賃貸住宅で一人暮らしをする。賃貸住宅の退去時に、原状回復をめぐってトラブルが起きていると聞く。まだ契約前だが、そのようなトラブルを防ぐために、入居前にできることはないか。(20代男性)

 


A
  アパートなどの賃貸住宅を退去するとき、多くのトラブルの原因となるのは「原状回復」です。賃貸住宅の契約書に「借主は、通常の使用に伴って生じた損耗を除き、原状回復をしなければならない」と記されていることがありますが、「原状回復」にかかわる判断が借主と貸主で異なるため、トラブルが起きると考えられます。

原状回復って何?

  
国土交通省がまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、「原状回復」をするための原因となっている建物や設備の損耗について@建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)A借主の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)B借主の故意・過失、注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等以上の3つに区分しています。

  
そして、この中で借主が負担すべき費用はBのみであり、@Aに関しては、貸主が負担すべきと考えています。つまり、「原状回復」とは借主が借りた当時の状態に戻すことではないこと、貸主が次の入居者を確保するために行う設備の交換や全体のハウスクリーニング、化粧直し(リフォーム)は、原状回復とは異なるため、借主が負担すべきものではない、という判断基準です。

借りるときにチェック

  
こうしたトラブルは、部屋の損耗・損傷が入居前か入居中か、発生時期がはっきりしないことが大きな原因となっています。トラブルを未然に防ぐためには、「入居時」と「退去時」の2回、借主と貸主が立ち会って、室内の汚れやキズなどについて確認することも必要です。入居前に「物件状況チェックリスト」を作り、気になる部分は写真で残しておくなど、記録しておくとよいでしょう。

  
トラブルが起きたら消費生活センターへ。なお、賃貸住宅に関するお問い合わせ先として、北海道建築指導課管理指導グループ(011-231-4111〈内線29-463〉)や、(社)北海道宅地建物取引業協会の不動産無料相談所(011-641-8931)があります。

 

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占いで不安をあおられ・・・高額な印鑑を購入

2月掲載)

 

Q 1週間ほど前、「運命鑑定をします」と勧誘員が自宅へ来た。以前から占いには興味があり、家族の不幸が重なって悩んでいたこともあって話を聞くことにした。その後、店舗に出向いて姓名判断をしてもらう約束をし、鑑定料の一部として内金を支払った。店舗では家族のことなどを長時間にわたってしつこく聞かれた。姓名判断の結果、「名前の画数を変えると運勢がよくなる」「その画数で印鑑を作ると幸せになれる」と説明され、高額な印鑑の購入契約をした。その後、勧誘員から家族や家系図のことについて勉強する講演会に「軽食代だけだから」と誘われ、断りきれずに参加した。継続して参加するには、人によって異なるようだが、別途高額な費用がかかるらしい。「お金がない」と、今後の参加を断ったが、「今日は手元にある全額を支払うように」と言われ、そのときの所持金の全額2,000円をおいて帰ってきた。「占い」だけのはずが、「印鑑」や「講演会」と次々に勧められ、霊感商法のようで不審だ。解約したい。(70代女性)

 


A
  自宅での契約や、販売目的を告げられずに店舗に誘われ、そこで契約を結んだ場合、特定商取引法(特商法)の訪問販売に当たります。「姓名判断(易断)」は特商法の指定役務に、「印鑑」は指定商品に該当するので、契約書を受け取った日から8日間はクーリング・オフが適用されます。

 この事例の場合、相談者は、本来の目的ではない「印鑑」について解約希望だったため、「印鑑」のみクーリング・オフの手続きのアドバイスをしました。また、講演会で支払った経費の返還を求めて交渉したところ、事業者は販売方法に問題があったことを認め、軽食代と2,000円を返還しました。

 姓名判断などを口実に印鑑などの商品を売り付ける商法は以前からあります。印鑑購入後に講演会などへの参加を促し、「次々」と費用の負担を求められることもあるので十分な注意が必要です。

 

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公的機関?身に覚えのない請求がきた

2月掲載)

 

Q 「債務不履行により裁判所で手続きをした。差し押さえをする」という内容のはがきが届いた。心当たりはないが、差出人が「国民財務センター」とあり、公的機関かと思って不安になった。はがきに書かれてある連絡先へ電話をしたが、納得のゆく回答が得られない。裁判の取り下げ期日は今日だが、どうすればよいか。(40代女性)

 


A
  この事例は、実在する公的機関に類似した名称をかたり(実在する機関や団体名を詐称する場合もあります)、「起訴状を受理」「支払い督促」などの言葉で消費者の不安をあおり、架空の有料サイトの利用料金や事務手数料、債権の請求などをしてくる、いわゆる「架空請求詐欺」に当たります。

 身に覚えのない請求であれば無視しましょう。はがきに記載してあるところに電話をすると、さらに個人情報を聞き出されることもあります。不当な請求をする事業者の情報を知りたい場合は、北海道のホームページに「不当請求事業者名」等を公表しているので確認できます。

 判断に迷うときや裁判所名で通知文が来たときは、放置せず、すぐ消費生活センターへ問い合わせを。

 

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このまま飲んでいるとがんになる?高額な浄水器を買わされた

1月掲載)

 

Q 1か月前、突然電話があり、健康状態などについて聞かれた後に、浄水器を販売する会社だと知らされた。その日のうちに販売員が自宅に来た。販売員は家の水道水をコップに注ぎ、試薬を入れた。途端に赤くなり、「塩素が多量に含まれている」と言った。さらに「浄水場が近いから塩素が多い。煮沸しても駄目だ。この水を長く飲用し続けていると胃がんや大腸がんになる」と説明され、約40万円の浄水器をすすめられた。不安になって購入したが、効果が疑問なので解約したい。(70代女性)

 


A
  この相談の場合、電話をかけてきた際に、初めに浄水器の販売であることを告げていないことや、「がんになる」などの虚偽の説明による勧誘など、販売方法に問題がありました。事業者に以上の点を指摘したところ、「がんになるとは販売員は言っていない。ただ、誤解を招くような勧誘をしたのであれば、無条件解約に応じる」との回答がありました。後日、事業者が浄水器を取り外しに訪れ、解約合意書を交わして終了となりました。なお、この事業者は同様の手口で販売を続け、特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで逮捕されました。

 浄水器の訪問販売では、ほかにも「水道の点検に来た」「試験的に取り付ける。買ってとは言わない」などと言って家に上がり込み、長時間居座って購入を迫ったり、複数の事業者に5年ほどの間で次々と5回も浄水器を取り替えられたりした事例もありました。これらの訪問販売は、不当な取引方法であり、特定商取引法や北海道消費生活条例に抵触する場合もあります。

 悪質な訪問販売から身を守るためには、安易に家の中に入れないことです。アンケートと称してかかってくる電話にも要注意です。よく分からない相手とは長く会話せず、すぐに切ることです。もし被害に遭ったら、最寄りの消費生活センターへすぐに相談しましょう。

浄水器と活水器の違いは?

 「浄水器」は残留塩素の除去などの性能に関して、日本工業規格(JIS規格)に試験方法が定められており、家庭用品品質表示法の指定品目とされているので、除去対象物質を表示により確認できます。

 一方、磁気等を利用して「水がまろやかになる」などの感覚的な表現で広告している「活水器」という商品があります。中にはトリハロメタンのような有害物質を除去すると広告しているものもあるようです。

 国民生活センターは、平成208月に、磁気活水器6品目の試買テストに基づき、水道水のトリハロメタンや残留塩素を除去する効果はないという結果を発表し、業界に対し誤解を招く広告や表示はとりやめるよう要望しました。 

 

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