消費生活相談

知っていますか?クーリング・オフ制度

ここでは、不本意な契約をしてしまったとき、契約を解約(申込を撤回)できるクーリング・オフ制度について解説しています。

クーリング・オフができない場合でも、消費者契約法などで解決できる事例もありますので、あきらめずにお近くの消費生活相談窓口にご相談ください(下記解説は令和4年8月1日現在の情報に基づいています)。

(1)クーリング・オフとは

クーリング・オフとは、訪問販売や電話勧誘販売など特定の取引について、消費者に一定期間の熟慮期間を与えて、その期間内であれば、消費者から一方的に申込の撤回や契約の解除を認めるものです。不意打ち的な取引や高額で複雑な取引について、冷静に(cooling)考えて、契約から離れる(off)機会を与えることを趣旨としています。

特定商取引法に規定されている訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)、特定継続的役務提供(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)、業務提供誘引販売取引(いわゆる内職・モニター商法)、訪問購入のクーリング・オフ規定は、消費者の保護に役立っています。

ただし、特定商取引法で規制されている通信販売にはクーリング・オフが規定されていませんのでご注意ください(通信販売の返品については後述します)。

(2)クーリング・オフの効果

クーリング・オフは上記の取引方法で契約した商品・権利・役務(サービス)(詳細は下記を参照)に適用されます。また、クーリング・オフ期間がそれぞれ取引内容別に定められており、その期間内であれば、無条件で申込の撤回、契約の解除が可能です。

事業者は、契約の解除などにあたって消費者に対して違約金や損害賠償などは請求できず、支払い済みの金銭があれば速やかに返還しなければなりません。消費者に商品を使ったことや権利を行使したことによる利益が残る場合でも、その利益を返還請求することはできません。

また、商品などが消費者の手に渡っている場合は、事業者の費用負担で引き取りを行います。消費者が返品にあたって送料などを負担する必要はありません(通信販売は対象外ですのでご注意ください)。

(3)クーリング・オフ期間

クーリング・オフできる期間は次のように決められています。起算日は、基本的に契約書面を受け取った日を1日目として計算します。

契約書面の記載内容に不備があるときや、あるいは契約書面自体を受け取っていない場合などは、期間を過ぎていてもクーリング・オフできます。

取引内容 期間
訪問販売 8日間
電話勧誘販売 8日間
連鎖販売取引 20日間
特定継続的役務提供※ 8日間
業務提供誘引販売取引 20日間
訪問購入 8日間

※特定継続的役務提供の内容と適用される契約内容

指定役務 契約期間 契約金額
エステティック 1ヶ月超 5万円超
美容医療 1ヶ月超 5万円超
語学教室 2ヶ月超 5万円超
家庭教師 2ヶ月超 5万円超
学習塾 2ヶ月超 5万円超
パソコン教室 2ヶ月超 5万円超
結婚相手紹介サービス 2ヶ月超 5万円超

※ここでは特定商取引法の規制対象のみを掲載しています。この他にも宅地建物取引や保険契約などの取引においてクーリング・オフ規定がありますので消費生活相談窓口などでご確認ください。

(4)クーリング・オフの方法

クーリング・オフは、その契約を解除したい(あるいは申込を撤回したい)理由を告げる必要はないので、契約日や商品名と一緒に「この契約を解除したい」という意思が伝わる内容が書いてあればよく、消費者が自分で通知することができます。

クーリング・オフは必ず書面または電磁的記録(※令和4年6月1日以降)で行いましょう。電話や面談など口頭で告げただけでは、後になって「連絡を受けていない」、「解約したいという内容ではなかった」、「クーリング・オフ期間は過ぎていた」など、言った言わないの水掛け論になる恐れがあるため、必ず書面または電磁的記録で通知することになっています。

また、書面で通知する場合、クーリング・オフの書面を普通郵便で出しただけでは、郵便を受け取っていないという争いも予想されるので、必ず書面のコピーを取った上で、郵便局の窓口で発信の記録が残る「簡易書留」か「特定記録郵便」で送るようにしましょう。

クレジット契約をした場合は、クレジット会社にも同時に通知します。

≪記載例≫
・販売会社宛

信販会社あて

・クレジット会社宛

事業者あて

クーリング・オフには行使期間が定められているので注意が必要です。契約内容、クーリング・オフの記載がある書面を受け取った日を初日(1日目)と計算して8日(各取引の行使期間は上記参照)以内に書面を発信する必要があります(例えば月曜日に契約書を受け取ったとすると翌月曜日が最終日)。8日以内の消印であれば、事業者に届くのは9日目以降でも有効です。

※令和4年6月1日より、書面によるほか、電磁的記録でもクーリング・オフの通知を行うことが可能になりました。電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体や事業者が自社のウェブサイトに設けるクーリング・オフ専用フォーム等により通知を行う場合が挙げられます。FAXを用いたクーリング・オフも可能です。契約書面を確認し、電磁的記録によるクーリング・オフの通知先や具体的な通知方法が記載されている場合には、記載内容を確認して通知しましょう。通知後は送信したメールや、ウェブサイト上のクーリング・オフ専用フォーム等の画面のスクリーンショットを保存しておきましょう。

(5)クーリング・オフができる商品・サービス・権利

クーリング・オフの対象となる取引内容(販売方法)と対象商品(サービス)は次の通りです。

取引内容 期間 取引対象 備考
訪問販売 8日間 すべての商品・サービス(一部適用除外有)・指定権利(*) ※アポイントメントセールス・キャッチセールス・ SF商法を含みます
電話勧誘販売 8日間 すべての商品・サービス(一部適用除外有)・指定権利(*)
連鎖販売取引 20日間 すべての商品・サービス・権利 ※いわゆるマルチ商法です
※中途解約・返品ルールがあります
特定継続的役務提供 8日間 エステティック、美容医療、語学教室、
家庭教師、学習塾、パソコン教室、
結婚相手紹介サービス
※中途解約権があります
※店舗(営業所)での契約も含みます
業務提供誘引販売取引 20日間 すべての商品・サービス・権利 ※いわゆる内職商法・モニター商法です
※店舗(営業所)での契約も含みます
訪問購入 8日間 すべての物品(自動車(2輪除く)、家電、家具、書籍、有価証券、CD・DVD・ゲームソフト類を除く) ※クーリング・オフ期間中は物品の引渡しを拒絶できます。

*特定権利:「保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利」、「映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利」、「語学の教授を受ける権利」

(6)クーリング・オフができないもの

訪問販売等で契約した場合でも、下記のものはクーリング・オフができませんのでご注意ください。

  • 仕事用、営業用に購入したとき
  • 現金取引で3,000円未満の契約
  • 化粧品、健康食品などの消耗品で開封・使用したときの使用分
    ※ただし、契約書面に説明(消耗品の特則)がなければクーリング・オフできます
  • 路上勧誘(キャッチセールス)で行われる飲食店、カラオケ等
  • そのほか、葬儀、乗用自動車など

※上記以外にもクーリング・オフできないものがあります。

※クーリング・オフは、あくまで不意打ち的で契約するかどうか考える時間がない、あるいは高額で複雑な契約についてすぐに判断がつかないと考えられる取引などが対象です。通信販売や店舗販売など、消費者が契約について自分で考える時間が十分にあるものは適用されません。なお、通信販売は返品の可否や条件について特約がある場合は特約に従います。特約がない場合は、商品を受け取った日を含めて8日以内であれば、送料を消費者負担で返品することができます。

(7)消費生活相談窓口

クーリング・オフしたいが方法がわからない、事業者とトラブルになった、自分でどうすればよいかわからないなど、困ったときは一人で悩まずにお近くの消費生活相談窓口までご相談ください。

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